秋はかくれんぼが得意なの。

 彼女はそう言って、深い赤のなか、しゃがみこんで笑ってみせた。

 月は太陽に憧れ姿を隠すというが、僕は太陽に焦がれている。

 ゆらりゆらりと揺蕩うワンピースのオパールグリーン。晩の雨粒が地面をきらきらと照らしていて憎らしかった。この光が、輝く世界が、彼女の全てを奪っていってしまうのではないかという気すらした。

 月は太陽に触れてはいけない。触れてしまえば最後、僕は陽光にうまく化けた業火に焼かれて灰になってしまうのだろう。

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